漏水(水漏れ)

漏 水(水漏れ)

一般的に住宅の水漏れは、下記の3つに分類されます。
  • 給水側(水道水)からの水漏れ
  • 排水側からの水漏れ
  • それ以外からの水漏れ(浴室の隙間など)

給水側の水漏れには、建物に被害や影響を及ぼさないケースと、建物に被害が発生するケースがあります。
建物に被害が及ばないケース(水漏れによる水道料金は発生する)

  • 蛇口を締めてもポタポタ水が滴り落ちる。
  • シャワーヘッドから少量の水が流れ続ける。
  • トイレのタンクの水が止まらない。
  • 蛇口の根元から給水が滲んでくる。
  • 等の場合は、水漏れはしているので水道料金はかかるが、排水側(排水口)に漏れた水が流れているので、建物に影響はありません。

建物に被害が及ぶケース(水漏れによる水道料金も発生する)

  • 給水配管から水漏れして床下に浸水している。
  • 給水配管から水漏れして、天井や内壁に滲みや浸水が発生している。
  • 給水配管から水漏れしているが、建物の外で漏水して地中に浸水している。
  • 等の場合には、建物や地盤に影響が及ぶ上に水道料金も発生してしまいます。

もう1つの水漏れ原因は排水側からの水漏れです。
  • 排水口付近から水漏れして床下や階下に漏水している。
  • 排水配管の損傷や劣化から壁内や床下で漏水している。
  • 排水配管が逆勾配になったり、堆積物の影響で滞水や逆流が生じている。

給水管(蛇口等含む)や給湯管からの給水側の漏水は水道料金の明細などで気付きやすい方ですが、それでも少量ずつの水漏れであれば長期間気が付かない可能性もあります。
しかし排水管からの漏水は水道料金などに反映されないので、意外と気付くのが遅れることが多いです。
特に床下の排水管から漏水している場合は、気付きにくい事が多く被害が拡大してしまうこともあります。
漏水が原因で、床下収納庫を外したら床下が水浸しだったとか、春先に多量の羽根蟻(白蟻)が発生していたということもあります。

住宅の水漏れは建物寿命の低下や建材の腐朽にも繋がりますが、なかなかタイミングが無いと難しいものです。そこで外壁の塗り替え工事や屋根の塗り替え工事を施す際には、建物全体の漏水点検を実地してみては如何でしょうか?

1:蛇口(室内)

蛇口から水漏れする原因は次のようなケースが考えられます。
  • 給水管の水が凍結すると体積が膨張して壊れる。
  • 蛇口のケレップ(コマ)が損傷や劣化して吐水口から水が止まらなくなる。
  • 蛇口のパッキンが劣化して吐水口から水が止まらなくなる。
  • 蛇口と配管の間を繋いでいる部分から水が漏れる
  • 混合水栓のクランクナットの部分から水が漏れる。
水道を使用していない時に、給水メーターが動いている場合には水漏れしている可能性が高いので、気になる個所があればチェックしてみて下さい。
水漏れ
水漏れ
水漏れ
水漏れ

2:浴室(室内)

住宅の浴室は水漏れが発生しやすい場所です。
それは給水管や排水管以外に浴室内の壁や床の目地や隙間からも、水漏れが発生してしまう事があるからです。

浴槽からの水漏れ
  • 浴槽に入っている亀裂からの漏水
  • 排水口やゴム栓等の劣化による漏水
  • 給湯口からの漏水
浴室の換気扇からの水漏れ
  • 換気のダクトからの水漏れ
  • 雨水の逆流による漏水
  • 換気扇の周辺から室内側への漏水
浴室の床や壁からの水漏れ
  • 床や壁のヒビ割れから室内側への漏水
  • 浴室の床や壁から床下への漏水
  • 浸水でタイルやモルタルの劣化や剥離する。

上記のような水漏れが考えられますが、実際には複数の要因が同時に発生したり、漏水とは別の瑕疵や劣化による複合型の被害が発生するケースもあります。
日常的に水を使う場所だけに、外壁や屋根の塗装や大規模リフォームの際には浴室の点検をお勧めします。

浴室タイルの剥離
浴室タイルの欠落
浴室タイルの欠落
浴室タイルの欠落
亀裂

3:トイレ

トイレの水が止まらないのは下記のような原因が考えられます。
  • ゴムフロートが劣化や損傷している。
  • オーバーフロー管に劣化や損傷が発生して水が漏れている。
  • ボールタップ内のパッキンが損傷している。
  • ロータンクの浮き球に水が侵入している。
トイレの排水管(ロータンクから便器への接続)からの水漏れは
  • 排水パイプのパッキンが劣化している。
事が主な原因です。 上記の2つのケースはトイレの室内での水漏れなので目視でも十分見つけられる範囲ですから、普段からチュックするように心がけて下さい。
ロータンクへの給水
給水管からの水漏れ
ロータンクの点検

4:脱衣場(洗面所)

脱衣場(洗面所)は浴室と室内との間に存在するので、湿気が籠り易く結露や漏水が起こり易い場所です。
特に浴室との境目や床は劣化や腐朽する可能性が高く黴も発生しやすい場所なので、水分が溜まらないように定期的な換気や除湿が必要です。

既に床や壁に滲みやカビが発生している場合には、床下の点検を行い劣化や腐朽が起きていれば、状況に応じて防カビ塗装や防腐塗装を施すと安心です。
カビが発生
含水率を測定
含水率を測定

5:室 内

室内に滲みが発生した場合には幾つかの原因が存在します。
  • 給水管や排水管からの漏水が壁や天井に滲みてきている。(水漏れ)
  • 住宅内に害獣が侵入して、天井などに糞尿の滲みが発生している。(害獣の糞尿)
  • 雨が住宅内部に浸入して、室内に滲みが発生している。(雨漏り)
  • エアコンの室外機やベランダ等で散水した水が室内に浸入している。
  • 結露による滲みが発生している。(結露)

天井や壁に滲みが発生した場合は、すぐにクロスを貼り替えたり補修したりしてしまうと、原因が分かりにくくなってしまいます。
滲みや水漏れを発見した場合には修理や補修する前に、漏水原因の調査も御検討下さい。

非破壊で推定
漏水箇所の特定
結露の調査
滲みと浮き
含水率を測定
寿楽壁に滲み

6:床 下

建物の床下は普段あまり見る機会がないので、定期的な点検を怠りがちですが、実は建物の寿命を考える上で非常に重要な場所です。
床下は排水管から漏水していても気が付きにくい箇所なので、どうしても水漏れの発見が遅れがちです。
しかし発見が遅れれば遅れるほど被害は拡大してしまい、漏水の補修や修復が困難になってしまいます。

床下で漏水しているのには下記のような要因が考えられます。
  • 給水管や排水管からの水漏れ
  • 浴室や台所やトイレの直下からの水漏れ
  • 換気口から雨水や散水などが浸入
しかし、同じ排水管からの水漏れでも、下記のように複数の原因が存在します。
  • 施工不良(新築時やリフォーム時の施工方法に問題があった。
  • 配管そのものに欠陥があった。
  • 施工する計画や設計に無理があった。
  • 地震や不同沈下で配管に許容量を超える力が加わり破損した。
  • 害獣(ドブネズミやイタチなど)により損壊した。
上記以外にも多数の原因は考えられますし、複数の要因が関係している場合もありますから、気になる水漏れや滞水を確認した場合には、弊社まで御相談下さい。
漏水

1:蛇腹ホースと大曲継手の保護用テープから漏水している。

施工ミス
2:青丸に排水管を設置する予定だったが施工ミスで黄丸の位置に変更した。
蛇腹ホースと90度大曲継手の接合角度に無理がある。
施工当初

3:施工当初は防水パンの排水を青円の位置にする予定だった。

漏水が発生

4:上記の赤枠から漏水が発生

土台から床下に漏水
滲みが発生
土台に漏水滲み
排水の滲み
土台の滲み
基礎の滲み
排水管から漏水
土台と基礎が腐食
束柱で含水率を測定
床下の配管から漏水
断熱材と大引きに滲み
排水が浸入

7:屋 根

屋根の上の太陽熱温水器から水漏れしても、屋根を伝って雨樋に流れてしまうのでなかなか気が付かないという点があります。
太陽熱温水器から水漏れがしているという事は、他の部分の劣化も進行している可能性があります。
普段、気軽にチェックできない個所だけに、外壁や屋根の塗装を行う際には太陽熱温水器やアンテナ等の点検や検査行っておくと、安心して使用できます。

太陽熱温水器に発錆
太陽熱温水器に発錆
太陽熱温水器から漏水

漏水補修

漏水した場合には、下記の3点を調査します。
  • 漏水原因(給湯管の老朽化・接続部位の経年劣化・シーリング剤の劣化など)
  • 漏水箇所(排水管の管継手個所・給水管のエルボ継手・蛇口のコマパッキンなど)
  • 漏水経路(2階の洗面所の給水管から1階のリビング天井付近に漏水)

その次に、『どこまで補修するのか?』という問題が出てきます。
例えば、

  • 漏水箇所のみを補修すればいいのか?
  • 老朽化した配管を全て交換するのか?
  • 漏水していないが漏水しそうな個所は補強しておくのか?
  • 滲みが出来た漏水経路をどのように処理するのか?

また漏水の補修は、新築時の新設配管とは違い「可能な補修方法」と「不可能な補修方法」があります。例えば不可能な補修方法としては、
  • 作業が出来ない
  • 職人の手が届かないので作業が出来ない。
  • 確認が出来ない
  • 配管が建物の耐圧盤(ベタ基礎)の下を通っていたりしていて直接確認出来ない。
  • 現実的ではない費用がかかる
  • 建物の構造上、完璧に直そうとすると家を建てるような費用がかかる。 等が挙げられます。

つまり同じ漏水でも、実際は幾つもの補修計画が存在するのです。
そこで、
『現状の建物に合わせた補修計画』や
『施主の予算に応じた補修計画』や
『現在の生活環境や生活スタイルに対応した補修計画』や
『この先の将来設計を考慮した補修計画』や
『どの程度の信頼度が見込めるかを考えた補修計画』
等を総合的に判断して補修計画を立てていきます。

御心配な漏水が発生していれば御気兼ねなく弊社に御相談下さい。

漏水修理の例1

天井から漏水
床下を開口
床下を開口
漏水箇所の洗面所の床
洗面所の床を開口
洗面所の床を開口
遮音シートの上に滞水
遮音シートの上に滞水
給水管の状態を確認
遮音シートの下を確認
漏水箇所を特定
点検口の造作
床下の収納庫から進入
床下で給水配管の経路確認
給水配管の施工
2階迄の給水配管
滞水個所の清掃
防腐剤と防カビ剤の塗布
塗布後に乾燥
完了

水漏りの補修の例2

天井入隅に漏水
天井の解体
内壁の解体
漏水箇所と原因を特定
加工と壁の造作
床板の交換
クロス貼り替え
仕上がり