小屋裏(屋根裏)には、人が入る事が少ないのであまり細かく検査や点検をしていない事が多いですが、家主が気づかないうちに雨漏りしたり害獣や害虫の被害に合っていたりする可能性があります。
また、経年劣化による木材の腐朽や損傷があったり、建築時の施工不良があったりするケースもあります。特に、住宅を建築した業者が既に廃業したり倒産してしまったりしているケースや、建物の築年数が20年以上の方には御勧めです。
住宅の塗り替えやリフォーム工事をする際には、小屋裏の点検や検査も是非御検討してみては如何でしょうか?
小屋裏にカビが発生する要因は様々ですが、一般的には夏場の結露が原因の場合が多いようです。
つまり、カビは毎年4月~7月頃に活発に活動します。
室内でカビの発生しやすい場所としては、
つまり一般的な住宅の建材であれば、どこにでもカビが発生する栄養があると考えられます。なかでも、カビは空気が流れにくく埃や塵が溜まりやすい場所に生えやすいので、室内以外の床下や小屋裏や壁内でも条件さえ整えば、カビが育ちやすい環境になってしまいます。
カビの対策には、小屋裏の木材を接合する際には接合金物を使う事が多いですが、折角の接合金物も十分な状態で使用されていないと効果も低下してしまいます。
特に一定以上の湿度(60~80%以上)がある状態で、室内との温度差(5~10度以上)が激しい環境だと結露が起きやすいので注意が必要です。
結露を防ぐには十分に小屋裏の換気をおこない、なるべく温度差が生じないように心掛けることが大切です。
小屋束の凸部を母屋や小屋梁の凹部に差し込んで木材同士を固定する仕口の一種です。
横になる木材(水平になる木材)に穴を開けて、その穴に柱や束を差し込むことで、木材を安定させます。ほぞ穴を下まで貫通させる納まりと、途中までしかで貫通させない納まりがあります。貫通させない方が施工は簡単ですが、湿気が溜まり易くなるので木材が痛みやすくなる欠点もあります。
継手は木材と木材を長手方向に繋ぎ合わせることです。
住宅を建築する際の木材の長さが足りない場合に、他の木材を継ぎ足して使用する為の手法です。一般的には母屋や梁や軒桁などで使用される事が多いです。
通常の住宅建築では2~4mの木材しか使用しないので、棟木や母屋や軒桁などは継手を
行います。
木材の接合部に金物を使用すると、金物が結露したときの湿気で木材が腐食する原因になってしまう事があります。しかし金物を使わない継手の場合は、結露が発生しにくく、ねじれに強い継手や引っ張りに強い継手など様々な手法が存在します。
木材と木材を接合する際に角度をつけて、接合する手法のことです。
一般的には90度の角度で、『母屋と梁と小屋束』や『軒桁と梁』などを接合する歳に使われます。
T字型や十字型やL字型で接合される事が多いですが、寄棟の『大棟と隅棟』を接合する際にも使われます。
住宅の仕口個所は力が集中する個所でもあるので、許容範囲を超えた負荷がかかると崩壊や劣化の原因に繋がります。
仕口に問題が発生する原因としては、
木材が割れるのには幾つかの理由や条件があります。
一般的に多いのは、
『木材の干割れ(乾燥割れ)』
です。
木を切った状態のときは、木に水分が多く含まれています。
その木材を住宅に使用する際にも、ある程度の水分が木材に含まれています。
そして年月が経過するにつれて、徐々に木材から水分が抜けていきます。つまり木材がどんどん乾燥していきます。乾燥することで木材の強度は上がりますが、乾燥することで木材に割れも発生します。この乾燥による割れを、干割れ(乾燥割れ)と呼びます。
干割れは住宅の構造上、特に問題はありません。しかし干割れの外観で不安になる方が多いのも事実です。
但、木材の干割れ以外の割れは非常に問題です。
例えば、下記のようなケースが考えられます。
電気配線を束ねて保管しておく場合は問題ありませんが、通電させて電気を使用した場合には電線の温度が上昇しますので注意が必要です。
電線を束ねたままの状態で通電すると、電線が密集している場所からの放熱がされにくくなり、ビニル被覆やケーブルが溶けてしまう可能性があります。
また電線には曲げても構わない角度が定まっているので、折り曲げた状態で使うのは危険です。その状態で使用すると、折り曲げた個所に熱が籠りやすくなってしまいます。
電線の折り曲げた状態や束ねた状態での使用は、発火や火災の原因にも繋がりますから、なるべく控えるようにして下さい。
住宅の断熱効果を高めるためには、きちんと断熱材が敷かれているかどうかが重要なポイントになってきます。
最近では、小屋裏を物置部屋や小部屋として有効活用する為に屋根断熱が増えつつあります。しかし、屋根断熱(充填剤による断熱)は、小屋裏(天井裏)に敷く断熱材より断熱性能が低いと言われています。
小屋裏にきちんと断熱材が敷かれていない場合は、内壁や床の断熱材もきちんと施工されていない可能性があります。
また断熱材には表と裏があるので、反対向きに敷いてしまうと効果が下がってしまいます。(一般的には文字が記載されている側が下になります。)
断熱材は劣化が激しくなると、あまり断熱効果を発揮出来ません。断熱材を20年以上しようしている住宅では、交換をした方が良い場合もあります。
室内の断熱効果が低いと感じている場合などには、サーモグラフィーや超音波を使った断熱調査をお勧め致します。
住宅を建築する上で、瑕疵や施工不良でも程度によって生じる問題には開きがあります。
中でも、
柱や梁の接合は非常に重要なポイントです。
この部位に施工不良があると、構造上の大きな問題に成り兼ねません。
特に地震や台風などの災害時に大きなトラブルを引き起こす可能性が出てきます。
「古い家だから仕方がない」とか
「今のところ問題が起きていない」とか
「建て替える費用が無いから我慢する」と
諦めてしまわずに、お気軽に御相談下さい。
また、小さな施工不良を放置しておくと、が大きな問題に発展してしまうこともあります。現状を把握する為にも家屋の診断や検査を定期的に行うと安心です。
桟瓦やスレート瓦を葺く為の野地板を垂木に固定する際に、留め釘の打ち損じが発生しやすいので注意が必要です。
職人さんによっては
「打ち損じた場合は打ち直すから大丈夫。」だとか、
「打ち損じたか否かは感覚で判断できるので心配ない。」と
言われる人もいますが、
完全に打ち損じた場合は分かるかもしれないが、斜めに打ち込んで垂木の中心から外れてしまった場合には気付かないことが殆どです。
また、打ち損じた釘は結露により発錆が起きやすい状態になるので、あまり放置しておかない方が安全です。
しかも打ち直しをしていないケースも多く、野地板や屋根瓦がズレてしまう原因にも繋がります。
長めの釘やビスで見えない個所を留める際には、木材探査機(鉄筋探知機)や電磁波探知機などを使い、予め墨出しをしてから施工すると正確に施工できます。
小屋裏で機材を使用して調査を行う方法としては下記のようなケースがあります。
建物の調査や検査に専用の機材を使用することで客観的なデータとして確認出来たり、目視では判断しにくい状況を把握出来たりするので、小屋裏の検査や調査の際に役立ちます。
桁の継ぎ手に短冊金物(㈱沢田工業/No22-1 CP-T)を施工、
束と桁の接合に角金物(㈱沢田工業/No38-1 CP-T)を使用。
制震金具ガルコン(イケヤ工業㈱/GL-Ⅶ PAT)を大梁と小屋束の接合に使用。
小屋裏補強後の画像。