外壁全般

外壁全般

外壁調査

住まいの外壁塗装や屋根塗装を考える上で、施工前の建物点検や建物診断は欠かせない項目です。 住宅の塗り替えを考える時期ということは、築7年~12年位は経過している状態だと思います。特に住宅を建ててから10年過ぎると建物の保証期間も切れてしまいます。 そうなってくるとどのような住宅でもそれなりに劣化はしていると考えて下さい。 しかし一般的な塗り替えを希望される方の殆どは、
  • 高額な塗料を塗っておけば安心だ。
  • 長年続いている大手に頼めば間違いがない。
  • 2度塗りより3度塗り、3度塗りより4度塗りしてもらえば万全だ。
  • 相見積もりを取って、同じ内容で一番安い業者に頼めばお得だ。
  • 自社施工の会社なら心配がない。
と、塗料の質や塗装の金額や会社の実績や施工方法に目がいってしまう方が多いです。 勿論、そういったことも大切な条件の1つではありますが、 それよりも更に大切な事としては、今の我が家の状態を知る事ではないでしょうか? つまり現在、
  • どこの場所がどの程度劣化しているのか?
  • 修理や補強を施すとどのくらいの金額が必要なのか?
  • あとどのくらい(修理しなくても)持ちそうなのか?
  • 外壁や屋根の塗装と一緒に修理した方が良いのか?
  • (劣化していれば)何が原因で、誰の責任なのか?
等の、具体的な建物の調査結果を知っておかないと、確実な対策や予算の組みようもないと思います。

弊社では、外壁や屋根の塗り替え前に建物の診断を行っています。
現在の建物の状況を把握しておく事が、非常に重要だと考えているからです。

塗膜の剥離

外壁や屋根の塗膜が剥離している個所は、上から塗装してもいずれは旧塗膜と一緒に剥がれてしまいます。 そうならない為にも、最初に外壁の状態を把握しておく必要があります。 塗装を施す際には、劣化状況に応じた対応や対策が必要だからです。 塗膜が剥離するには一般的に次のような原因が考えられます。
  • 塗膜と外壁の間に結露が発生して塗膜が浮いてきた。
  • 下塗り剤との相性が悪く吸着力が落ちてきた。
  • 中塗り剤(塗料)が乾燥する前に上塗りをしてしまった。
  • 高圧洗浄をした後に、滲み込んだ水分が完全に乾燥するまえに塗装をした。
  • 塗膜の収縮で生じるひずみが生じた。

つまり、塗料が剥離する原因は『水の浸入』と『塗膜の収縮応力』が大きな原因になっています。

また剥離の原因は塗料の経年劣化ではなく、塗装工事の施工不良である場合も多いので注意が必要です。

剥離探査
外壁の可視画像
赤外線画像
赤外線画像
塗料の剥離と苔
塗膜の剥離
塗膜の剥離
塗膜の劣化

塗料の剥離

外壁の剥離
塗膜の剥離

外壁の滲み・苔・黴

外壁や屋根の塗料の防水効果が低下してくると、外壁材に雨が滞水してしまいます。
その滞水した水分が原因で苔や黴が発生したり外壁の滲みになったりします。
外壁の滲みを放置しておくと、外壁材を腐食してしまう可能性も出てきてしまいます。更に外壁材が腐食してしまうと、外壁材の塗装ではなく交換が必要になってしまいます。

苔や黴が発生するのは下記のような条件が挙げられます。

  • 一定の水分があり滞湿しやすい場所(劣化した目地・外壁材の凹部・取合い部位など)
  • 風通しが悪い場所(雨樋の裏側・入隅部位・物置や室外機の裏側など)
  • 陽の当たりにくい場所(建物北側や日影になりやすい箇所など)

特に日当たりが悪い箇所や北面の外壁では湿気が多く苔や黴が発生しやすいので、定期的な清掃や洗浄が必要です。
測定
測定
雨垂れが発生
雨垂れ
滲み
外壁
滲み
発錆
カビ
外壁に苔
外壁に苔
滲みと外壁の苔
外壁材も劣化
手摺りから滲み
外壁に滲み

留め釘

外壁の留め釘が浮いてくる原因として考えられるのは、下記のような可能性が考えられます。
  • 長年に亘る風の影響で少しずつ釘が抜けてくる。
  • 釘を留めてある建材の損傷や腐食で摩擦力が落ちて抜けやすくなる。
  • 建物(釘を留めてある建材)の微振動で徐々に釘が浮いてくる。(自動車のボルトやナットが緩むのと同じ原理)
  • 外壁のサイディングボードが反ってきて、釘が耐えられずに浮いてくる。(特に新築施工前にボードの裏面が雨に当たっていると、施工後に反り易くなる)
  • 室内の湿気が隙間から壁内に入ったり、外側と内側の温度差で結露したりしてサイディングボードが反ってしまい釘が浮いてくる。

釘が浮いてきたら、上から打ち直せばいいとか、更に強力な釘(長さや太さ)で留めれば安心というものでもありません。
釘が浮いてきた場合には、その原因を考慮して対策を取る必要があります。

建物の傾きを測定
外壁材の傾きを測定
クラック
留め釘が浮いている
留める釘
白亜化

チョーキング現象(白亜化現象)

外壁や屋根の塗装をしてから一定期間が経過すると、塗膜内部にある樹脂や顔料を結合している添加剤の経年劣化により、顔料(白色)が粉のように塗膜の表面に噴出してくる現象のことです。
外壁を手で触ると白い粉が手に付着するので、誰でもチョーキング現象が起きているかどうかを簡単に判別する事が出来ます。
チョーキング現象が起きているということは、既に防水効果は下がっている証拠なので、早期のめ防水対策が必要な状態です。

外壁の可視画像
外壁の赤外線画像
チョ-キング現象
チョ-キング現象
チョ-キング現象
チョ-キング現象
チョ-キング現象

取合い(接合部位)

建物の取り合い(接合部分)は劣化が発生しやすい箇所です。
特に施工時期が違ったり熱膨張係数が違う素材を使ったりすると、どうしても年月を重ねるうちに無理が生じてきます。
外壁の取り合い部分は雨水が浸入し易い箇所でもあります。
外壁の取り合いの多くの接合箇所でコーキング剤(シーリング剤)が使われています。
因みにコーキング剤はシーリング剤とも呼ばれていますが、どちらも殆ど同じ意味で使われています。

  • シーリング剤(sealing agent)の、『seal』は『密閉する』や『封印する』という意味
  • コーキング剤(caulking agent)の、『caulk』は『塞ぐ』や『密封する』という意味

目視で認識できるほどの隙間が発生している場合には、応急処置としてコーキング剤で塞いでおくことも重要ですが、どのような原因で隙間が生じたのかを把握しておくことも大切です。 また単期間で取り合い部の隙間が広がったり、変色や劣化が進行したりする場合には、詳しい調査や診断が必要になります。 近所で大規模な建設工事が始まったり取り壊し工事などが行われたりする際は、後々劣化原因の補償でトラブルにならないように写真等に残しておくと安心です。

隙間
ヒビ割れ
ガス管と外壁サイディングボード
建物と玄関ポーチ

外壁の劣化(ヒビ割れ・クラック・亀裂)

外壁のヒビ割れでも目地にヒビが入るのと外壁材にヒビ割れが発生するのとでは、少し意味合いが違ってきます。

目に入ったヒビ割れが発生した場合は紫外線や風雨の影響による劣化が主な原因です。その対策としては、

  • 目地のヒビ割れにコーキング剤を打ち増しする。
  • 目地のヒビ割れのコーキング剤を撤去して、新たにコーキング剤を打ち直しする。
  • コーキング剤の下のバックアップ材も入れ替えて、新たにコーキングを打ち直しする。
などが、一般的な目地の補修方法です。

しかし、外壁材自体にヒビ割れが発生している場合は、原因によって対処方法が異なってくる場合があります。
その原因としては下記のようなケースが挙げられます。

  • 外壁材に許容量を超える荷重が生じている。(屋根やベランダの物置や壁掛け式給湯器等)
  • 外壁材の反り(結露や浸水)が原因でヒビ割れが発生している。
  • 外壁用の建材が地震の影響で耐力を超える負荷がかかった。
  • 地盤沈下(不同沈下)の影響で、建物が歪み一部の外壁に強い負荷がかかっている。
  • 建材の膨張(雨水)と収縮(乾燥)が原因で、力の集中する個所や耐力の弱い箇所にヒビ割れが発生する。

他にも、生活振動と呼ばれる下記のような振動でヒビ割れが発生する場合もあります。
  • 日常的な生活の中で起きる建物の振動
  • 住宅の近くの道路を通過する自動車の振動
  • 近くの工事現場や工場からの振動

人間の皮膚に出来た腫れも虫刺されによるものと悪性腫瘍(ガン)によるものとでは、全く対処方法が異なるのと同じように、外壁のヒビ割れも原因によって様々な対処方法が存在します。
外壁の塗装をする際には、気になるヒビ割れや劣化の診断も行っておくとより安心です。

傾きを測定
傾斜を測定
傾きを測定
ヒビ割れが発生
ヒビ割れ
ヒビ割れ
弾性力が下がり硬化
下刃からにヒビ割れ
支柱にヒビ割れ
幕板にヒビ割れ
目地にヒビ割れ
目地にヒビ割れ
外壁のヒビ割れ
外壁のヒビ割れ
下部からヒビ割れ

外壁の目地の劣化(ヒビ割れ・クラック・亀裂)

シーリング剤の一般的な耐久年数の目安は5~10年程度です。
しかし、
『施工前や施工後の環境』や
『素材の種類やシーリング剤の種類』や
『施工した条件』や
『施工した個所や部位』や
『施工者』等の
要件が異なると一概には判断が出来ません。

そこで目地のシーリング剤に変化が生じてきたら、劣化の状況を見て判断して下さい。
シーリング剤(コーキング剤)は経年変化や気候条件や建築環境などにより弾性を失い、もろくなります。そして、
『ヒビ割れ』
『切れ(クラック・亀裂)』
『破断(断裂・破損))』
『欠損(欠落)』
を、起こします。
雨水の破断部よりの内部侵入を防止し建物の性能保持の為にも、定期的な目地シーリングの打ち替えや打ち増しが必要です。ご検討ください。

目地にヒビ割れ
目地にヒビ割れ
目地にヒビ割れ
目地にヒビ割れ
目地にヒビ割れ
目地にヒビ割れ
目地にヒビ割れ
クラック有り
目地に亀裂
目地回り

矢切り(切妻部位)

切妻屋根の破風板が見える三角形の部位を矢切りと呼びます。
矢切り部分は風雨の影響を受けやすく、母屋の部分から小屋裏に雨水が浸入し易い部位と言えます。
また矢切りに換気口が設けられることも多いので、そちらも雨水が浸入する可能性が出てきます。
母屋が施工当初から痩せてしまい隙間が生じてくると、害虫や害鳥が侵入してしまう可能性も出てきてしまいます。
然し乍ら、放置しておくと小屋裏に被害が拡大してしまう恐れもありますので、矢切り部分にヒビ割れや隙間を発見した場合は、お気軽に弊社まで御相談下さい。

また、被害が自然災害による場合なら、火災保険の適用が受けられる可能性もあります。(経年劣化の場合は受けられません)
外壁や屋根の塗装をする際には、矢切り部分の補修や補強も一緒に考えてみては如何でしょうか?

劣化欠損
母屋とトタン壁の間
母屋と外壁の間に
母屋と外壁の間に
母屋と外壁の間に亀裂
外壁にヒビ割れ
母屋とトタン壁に
母屋と外壁に隙間

その他

外壁の劣化や損傷には様々な要因が働き幾つもの問題を発生させている場合があります。
人の腹痛や頭痛には幾つもの原因が考えられるのと同じです。
弊社では、外壁塗装や屋根塗装を考えられる方の為に、
『取り敢えず上から塗ってしまえば分らなくなるから塗装する。』
のではなく、塗装をする前に建物全体の調査を行うことで、現在の建物の状態を把握することが大切だと考えています。

そうすることで客観的な事実や数値が分れば、最適な塗装が出来るのではないかと考えるからです。
測定
土壌の硬度測定
剥離して欠落
タイルの剥離
タイルの亀裂
トタン壁の隙間
フードカバーに発錆