普段、建物の床下チェックする機会が少ないので、確認を怠りがちになりますが、健全な建物の状態を維持する為には定期的な点検や検査が必要です。
基礎には様々な原因で滲みが発生する事があります。
滲みが発生する要因として考えられるのは、不明な滲みは建物の劣化にも繋がりますので、心配な滲みを発見した場合には検査してみては如何ですか?
コンクリートの打ち継ぎ時間を超過して打設した場合に起こる現象
一定時間内にコンクリートを打設出来なかった際に、最初に打ち込んだコンクリートと後から打ち込んだコンクリートの間に発生した層をコールドジョイントと呼びます。
コールドジョイントの層になっている個所は、隙間が発生していることが多く二酸化炭素や塩化物が侵入する可能性が高くなります。
二酸化炭素や塩化物は鉄筋を腐食させる原因にも繋がるので、現在劣化が生じていなくてもコールドジョイント部分は定期的な経過観察が必要です。
床下の基礎の状態は検査する機会がないと、どんな状態になっているか把握できないことが多いので、3~5年に1度くらいは床下の点検や検査が必要です。
欠陥とは呼べない程の微細な瑕疵から、建物に重大な影響を及ぼす瑕疵まで様々なものが存在します。
また人間の身体と同様に施工当初は健全な状態でも、時間が経過するとともに徐々に劣化が進行することもあります。
特に基礎の欠陥や劣化は建物の寿命にも影響してきますので、不安を感じるような現象が発生したら、早めの検査をお勧めします。
床下の接合金物に発錆が生じると、接合部の強度が下るのは勿論ですが、基礎の内部の強度にも影響を及ぼす可能性があるので、安易には考えられない劣化でもあります。
木材の接合部の錆は湿気(特に結露)によって発生する事が多いですが、その影響で木部が腐朽する可能性も出てきてしまいます。更にはシロアリやドブネズミなどの害獣や害虫を呼び込む原因にもなります。
また基礎の鉄筋やアンカーボルトに錆が発生すると、鉄筋の膨張で基礎コンクリートが剥離や破壊される可能性もあるので、何らかの対策を施す必要があります。
鉄部の錆を抑えるためには、劣化状況を考慮して下記のような対策が必要です。
通常は基礎の上に土台が設置されます。その上に大引きが設置され、更にその上に根太が設置されます。根太の上に床の下地材(合板)が敷かれて、フローリングや畳が設置されます。
それぞれの建材を接合する際に、天端が揃っていないと隙間が生じてしまいます。
その隙間を埋める為にくさびを打ち込む場合があります。
但、くさびは地震や生活の振動で外れる可能性が出てきます。
それが建物の倒壊に繋がる可能性は低いですが、床鳴りする原因にはなります。
束柱は床下で大引きを支える為に使われています。一般的な束柱を設置する間隔(ピッチ)は、3尺(900㎜)~1m程度です。
束柱には主に下記の3種類のタイプが存在します。
・木製の束(一般的)
・プラスチック製の束
・鋼製の束
プラスチック製束や鋼製束は高さの微調整が簡単に出来るので楽に施工できるのが特徴です。
木製束は施工前に十分に乾燥させたものを使わないと、施工後に乾燥すると木が痩せて隙間が生じてしまう事があります。
束柱が正確に施工されていないと、床鳴りや床の軋みや撓みの原因になることがあります。束柱は不同沈下や地震などの振動で傾いたり浮いたりずれたりすることもあるので、床が不安定な状態になったら、まずは床下の束柱の状態を確認して下さい。
床下の土台や大引きは束柱等とは違い、腐食や劣化が進行した場合の補修費用も高額になってしまいます。
特に床下に湿気が溜まり易い場合には、防蟻対策だけではなく防湿対策や除湿処理などを施しておくと安心です。
定期的に検査しておくと役立つポイントは、
住宅の床下にきちんと断熱材が設置されていないと、室内を暖房しても底冷えがおきてしまいます。
床下に断熱材が正常に設置されていないと光熱費も余計に発生してしまいます。
断熱材が外れていなくても、断熱材同士の間に隙間が生じると放熱してしまいます。
床下は普段点検することが無い場所ですが、床の底冷えや他の部屋との温度差を感じる場合は、点検をお勧めします。
床下にカビが発生するとシロアリの被害や木材の腐食の原因になります。
またカビが繁殖して床下から畳や押入れに発生する可能性も出てきます。
因みに、床下に防湿材(調湿マット)や炭を敷いてもあまり効果は期待できません。
確かに防湿材や炭はある程度の水分を吸湿しますが、飽和状態になってしまうと、もうそれ以上は吸湿出来ません。吸湿した炭を定期的に床下から取り出して庭などで乾燥(湿気を排出)させてから、再び床下に敷くのであれば効果は発揮出来ます。しかし、そんな面倒なことを定期的に行うつもりがなければ、空気の循環するスペースを狭くしてしまうだけなのであまりお勧め出来ません。
床下の補強や補修は「建物の現状」や「現場の施工環境」や「建築条件」や「施主様の予算」などにより、状況に応じた補修や補強を施します。
例えば、『施工環境』や『施工条件』や『建築物の状態』や『予算』等によって、工事の内容や手順が変わってきます。
例えば、下記のような条件により総合的な判断が必要です。
1:床下を解体して束柱にボルトを固定してT型金物も設置する。
2:束柱にボルトを固定する。
3:柱に接合した金物と鉄筋を番線で緊結する。
4:束柱と大引きを接合ボルトで固定する。
5:束柱と大引きにT型金物を設置して、束柱と鉄筋を固定する
6:鉄筋と束柱の接合ボルトを番線で緊結する
7:全ての鉄筋と接合ボルトを緊結する。
8:鋼製束を大引きに設置する。
9:床束に根絡みを設置して、束柱に防腐処理を行う。
10:床下の解体出来ない個所から、コンクリートを打ち込んでいく。
11:生コンクリートを打設後に、バイブレーターを施して安定させる。
12:メジャーで耐圧盤の深さを測定(20㎝)
13:完成