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日本の住宅耐用年数は平均25年と言われています。それに比べてアメリカでは平均60年、ヨーロッパでは平均75年と云う耐用年数の統計が発表されています。ではこの差は何処から生じているのでしょうか?

  • 建築技術の差でしょうか?
  • 気候風土の違いでしょうか?
  • 建材や工法の違いからでしょうか?

日本では法隆寺を始め数多くの歴史的建造物の実績が物語っているように、木材はしっかりとした保管・管理さえしていれば伐採された状態から200年以上に亘り住宅としての強度を増し続ける事は意外と知られていない事実です。そして伐採後200年を境に強度は下降線を辿り、徐々に老朽化して約400年後には寿命を迎えます。

では何故、近年の住宅は25年~35年で老朽化のピークを迎えるのでしょう?

第1の原因は、高断熱・高気密住宅にすることで温度差から生じる結露と湿気による建物の腐食や劣化です。

特に下記の時期に影響を受けやすいです。

  • 7月~8月の高温多湿状況でのクーラーの使用
  • 12月~2月の冬に使う暖房設備の使用
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以前は内外壁に土壁が使用されていたので、【湿気で膨張した状態の土壁】や【乾燥で収縮した状態の土壁】と接する木材(梁や柱)の表面を空気と接触させる事が可能だった為、木材も自然に呼吸することが出来ました。ところが外装材にモルタルやサイディング材が使用されるようになり、壁内部の通気性が下がり木材が呼吸しにくい環境になってしまいました。さらにロックウールやグラスウール等の断熱材が使用されることで壁内部に水分を保ちやすい環境が整い、益々住宅木材が腐朽しやすいようになりました。断熱材だけでなくアスベストや有害な化学物質を使用してきた事も住宅寿命低下の原因の1つと言えるのかも知れません。

第2の原因は、建物内に水回り設備を持ち込んだ事です。

昔の日本の住宅は住居部分と水回り部分(浴室・台所・洗面所・トイレ)を分けて作られていました。水回り設備は土間や別棟に作られて、居間や寝室に湿気が及ばないようにしていました。

勿論、現在の水回り設備はユニットバスや水洗トイレになっている事が多いので、湿気や水漏れ対策などは施されています。

しかし、それでもやはり脱衣場には湿気や結露が発生しやすい環境が出来てしまいますし、水洗トイレでも完全な水や尿の飛び散りを防ぐのは困難です。

日本と欧米諸国とでは気候風土(特に湿度)が違うのに、欧米の水回り設備の住宅環境を取り入れてきたこと等も原因の1つです。

第3の原因は住宅の環境の違いです。

それは定期的な環境への対策と、地震などの災害に対する対策に相反する面があることが挙げられます。

定期的な建物に影響を及ぼすのには下記のような季節が挙げられます。

  • 6月~7月の梅雨の時期
  • 7月~8月の猛暑時期
  • 9月~10月の台風時期
  • 12月~2月の降雪時期

日本では、雨や風や雪に耐えるためには、土が葺かれた重い日本瓦が有効です。

しかし、10年から数十年に一度襲う巨大地震に対する対策としては、重い日本瓦ではなく軽いスレート瓦や金属瓦の方が有効です。

そして屋根をスレート瓦にすると、霧除け(サッシの上に設置する小さい屋根)を設置しないデザインにしたり軒天の出幅を狭くしたりすることが多くなり、雨仕舞が悪くなる可能性が出てきてしまいます。

また室内の高さを上げる為に屋根の勾配(角度)を緩く設計すると、屋根に雨水が留まる時間が長くなり雨漏りの可能性を上げてしまいます。

最後の原因は住宅管理の方法です。

米国では中古住宅を購入する人の60%程度が、カリフォルニア州においては90%以上の人がHome-Inspection(住宅の第三者検査)を利用しています。訊き慣れない言葉かも知れませんが、これは中古不動産を購入する時に物件の性能や品質を専門の検査機関に調査してもらう制度です。勿論、中古住宅の購入に限った事ではなく住宅調査(家屋診断)は、瑕疵や劣化が発覚してから行うものでは有りません。あくまでも人間同様、定期健診やHouse-Dock(ハウス・ドック)を受ける必要が有るのです。どんなに素晴しい医者も治療をする気がない方や病院に訪れたがらない人の治療は出来ません。人間も住宅も年月が経てば、病気(劣化)や老化(老朽化)は避けられません。せっかく建てた大切な我が家の寿命を延ばすのは家主の気持ち次第なのです。とりわけ、住宅の健康管理が耐用年数の向上に繋がります。

他にも住宅寿命低下には幾つかの原因が有りますが、自動車の車検は事故や故障を未然に防ぐために、人間の定期健診は病気の早期発見や体調管理の為にある事を思い出して下さい。住宅の定期検査は雨漏れや白蟻被害が発生してから行うものではなく、建物の損傷・劣化の早期発見・早期解決を目指すことで住宅寿命の向上させる為に行うのです。

外壁塗装や屋根塗装をする際には、建物全体の寿命を延ばす為にも住宅の総合的な検査や調査を御勧めします。

屋根や外壁の塗り替えの際には、お気軽に弊社まで御相談下さい。